契約書の素朴な疑問

今回は、あれ!どうなんだろうか?
と言うような、契約書についての素朴な疑問について
単純明快に解説していきます。

目次

契約書の「甲」「乙」はどうするか決まりがありますか?

決まりはありませんが、
相手によっては気にする場合もあります。

お客様など相手を立てるために
自分を「乙」とすることが一般的です。

あるいは、契約書を作成する側が気を使って、
お客さまでない相手を「甲」
とする場合もあります。

なお余談ですが契約書を作っていくうちに
「甲」と「乙」が
入れ替わってしまうという
失敗が稀にあります。

「甲、○○株式会社は・・・」
「乙、△△株式会社は・・・」と
声に出して作っていくと間違いないでしょう。

いずれにしても十分なチェックが必要です。


契約成立(合意)から日にちが立って作った契約書の日付はどうしたら良いでしょうか?

契約書を作った日付を
契約書の日付にしてかまいません。

むしろ、契約書作成日を日付として記載するのが原則です。

ただし、契約書の日付を
契約成立した日に遡って決める
こともできます。

その際、注意しなければならないのは
当初の契約内容と違うと言われないために、
相手方に内容を確認してもらうことです。

契約書の作成日を契約書日付として、
効力発生日を契約成立(合意)の日として
記載する方法もあります。


会社名や社長名が変更になった場合、契約書は作り直さなければならないですか?

契約書を作り直す必要はありません。

もっとも、変更があった場合は相手側に通知するのは
マナーと言うか常識です。

また、契約書に「相手方に通知する」と言う定め
がある場合には
通知義務がありますので注意が必要です。


契約書には必ず実印を押すのですか?

契約書の押印には認印やシャチハタを押印しても、
その契約書は有効です。

しかし重要な契約書の押印には、一般的には実印を使用します。

実印が押印してあれば複製された可能性は低く、
トラブルの回避につながるからです。

 契約書の有効性の観点からは
どんなハンコでもOKですが

シャチハタを契約書に押すのは
非常識と笑われてしまいます。


割印にはどの印鑑を使いますか?

割印は、署名・押印に使った印鑑と同じでなくても良いとされています。

実印を使った契約書であったとしても、割印には認印を使うことができます。

割印の目的は、複数ページのが同一の書面であることを示し、同じく、偽造や改ざんを防止することです。

契約書の有効性はさておき、
なるべく署名・押印に使った印鑑と同じものが良いでしょう。


収入印紙を貼っていない契約書は無効ですか?

収入印紙を貼っていなくても無効ではありません。

収入印紙を貼ることが必要とされる契約書には
印紙税法という法律で収入印紙を貼ることが
定められいてます。

契約書の効力と印紙税法は別の話です。

だからと言って収入印紙を貼っていないと
過怠税と言うペナルティが課されます。

収入印紙は納税なのです。



電子契約など耳にすることがありますが印紙はどうなりますか?

電子契約には印紙は必要ありません。

印紙税法は文書の「作成」者が、「作成」した文書につき印紙税の納税義務を定めています。

「文書」は「紙」であることが前提となっているので

電子契約における契約書のやりとりは、「文書」の「作成」にあたらないとします。

したがって印紙税の納税義務は発生しないと解釈されています。

だいいち、紙でないものに印紙は貼れません。

別の納税方法が考え出され、制定されれば別ですが今のところ必要ありません。


契約書が無くても契約は成立すると、よく言われますが
なぜ契約書をわざわざ作るのですか?

コンビニやスーパーで買い物をする。

ラーメン屋さんで食事をする。

これらも大げさに言えば、取引ですが契約書なんかは
作りません。

口頭だけでも成立しています。

「契約自由の原則」により、どのような方式で契約を締結するかは自由に決定することができます。
※例外として契約書の作成が法律により義務付けられている契約もあります。

このように、全ての取引に契約書を作ることは無理な話です。

上記のような、簡単で短期間の取引などは
口頭だけでも問題ないでしょう。

とは言えビジネスではきちんとした契約書がないと、
契約の存在自体や契約内容の詳細も不明瞭となり
言った言わないのトラブルの原因になります。

なお
特定の相手と頻繁に取引が繰り返される場合

例えばメーカーと販売店で取り交わされる
「商取引基本契約書」
で最初に基本的ルールを決めておいて

都度の取引の契約書を省略する方法もあります。


契約書のテンプレート(ひな形)を使って作成しようと思いますが?

現在いろいろな契約書のテンプレートがでています。
提供先が信頼できるか
テンプレートが古くないか
などはチェックしましょう。
無料のものもありますが、有料のものが望ましいでしょう。

テンプレートが作ろうとしている契約書とベストマッチしてうまく流用できる場合もあります。

案外、苦労せずにいい感じに作成できた。
しかし、少し不安を感じませんか? 

契約書は、法律用語を使ったある意味特殊な文書体系で書かれたものです。

また、古いテンプレートは法律が改正されてしまっている場合があります。

テンプレートを安易に流用することはリスクがあります。

そこで
テンプレートなどを利用して作成したものを必用に応じて専門家にチェックしてもらう。

重要な契約や、うまく使えるテンプレートが無い場合は専門家に作成依頼する。

などうまく使い分けるのもひとつの方法と思います。



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